コールセンター運用におけるKPI設定の重要性や設定時のポイントとなる「SMART(スマート)」など、KPI設定の概要は前回お話ししました。

今回は、コールセンターの現場で重要視されるKPIについて解説します。

前回の記事:コールセンター運用におけるKPI設定の重要性とその課題

1.『コールセンター白書2020』から見る最重視されるKPIとは

コールセンター運用を行うためには、目標達成に向けた中間指標となるKPI設定が不可欠です。では、実際の現場で最重視されているKPIは何でしょうか?

「コールセンター白書2020」によると、実際の現場で最重視されているKPIは以下の通りです。

図表①

出典:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2020』/株式会社リックテレコム/東京/2020.10.16/P75

最重視しているKPI指標として、「放棄呼率(応答率)45%」「顧客満足度:19%」「オペレータのモニタリングに基づく対応品質(モニタリング・スコア):12%」の順となっていることがわかります。

では、なぜこれらの指標が重視されるのでしょうか?
それぞれの項目について、パーセンテージが高い順に解説します。

2.放棄呼率(応答率)が最重要とされる理由

最重要KPI 画像①この章では「放棄呼率(応答率)」について見ていきましょう。

放棄呼率の概要

放棄呼率(応答率)とは、オペレータへ電話がつながる前に切れた、またはシステムによって切電された顧客からの問い合わせを表した割合です。

オペレータへの接続がスムーズなコールセンターほど放棄呼率は低く、対応の長時間化や人的リソース不足におちいっているセンターほど放棄呼率が高くなります。

放棄呼率がKPIとして最重視される理由

放棄呼率が高いセンターは、顧客からの要望すら聴き取れない状況です。

オペレータと話すこともできない状態は顧客に大きなストレスをあたえるだけでなく、自社のイメージを大きく損なう要因となり、最悪の場合、商品やサービスの解約へつながる可能性があります。

そのことから、放棄呼率(応答率)はコールセンターのサービスレベルを表す指標として最重視されており、のちに解説する顧客満足度の観点からも大切な指標と考えられているのです。

放棄呼率が高くなる要因

放棄呼率が高くなる要因には以下のようなものが挙げられます。

①対応可能なオペレータが不足している(人的リソース不足)

人的リソースが不足していると、顧客の入電に対応するのは困難です。

IVRなどのシステムを用いた対応時間の短縮や、オペレータ個々人の対応スキル向上、人員配置の基準を見直す必要があります。

②IVR(自動音声機能)がうまく機能していない

IVRは、顧客が問い合わせをした際、オペレータへつながる前に自動音声によって問い合わせ内容を振り分ける機能です。

うまく活用できれば大きな戦力ですが、自動音声ガイダンスの内容がわかりにくい、選択肢が多すぎるなどのストレスがあると、顧客が切電する要因となります。

そのため、ガイダンス内容を確認し、顧客にわかりやすい内容へ適宜変更していくことが大切です。

③対応時間が超過している

オペレータのスキル不足によって対応時間が超過し、オペレータ不足に陥っているケースもあります。

定期的な研修の実施、管理者によるフィードバックなど、オペレータのスキル底上げを目的とした施策を検討しなければなりません。

3.顧客満足度は顧客の声を測る指標

最重要KPI 画像②顧客満足度の概念を再確認するとともに、顧客満足度が高いコールセンターの特徴を見ていきましょう。

顧客満足度の概要

顧客満足度(CScustomer satisfaction)とは、企業の提供しているサービスや商品に対して顧客が抱いている満足度を表したKPI指標です。

顧客満足度がKPIとして重視される理由

顧客満足度が重視される背景には、コールセンターと顧客の距離が近いことが要因にあります。

コールセンターは顧客との関係が密接であり、かつ顧客からの問い合わせを真っ先に受ける部署です。ですから、会社の顔として恥じない質の高い対応ができなくてはいけません。

そのため、コールセンターの対応が顧客に寄り添った適切な対応であったかを計る指標として、顧客満足度が重視される傾向にあります。

顧客満足度が高いコールセンターに共通する特徴

顧客満足度が高いコールセンターには、以下のような共通した特徴があります。

・待ち時間が短い(つながりやすい)
・十分に話しを聞いてくれる
・説明が丁寧かつ簡潔である
・事案にあわせた柔軟な対応を実施している
・たらいまわしが発生しない
・前回と同じオペレータが対応してくれる など 

この中でも「待ち時間が短い(つながりやすい)」という点は特に重要であり、顧客満足度の結果へ大きな影響をあたえます。

4.モニタリング・スコアは評価基準を明確にする必要がある

最重要KPI 画像③

オペレータのモニタリングに基づく対応品質を数値化したモニタリング・スコアがKPIとして重視される理由や、運用する際のポイントを解説します。

モニタリング・スコアの評価基準とは

モニタリング・スコアの評価基準は企業によってまちまちですが、大分類のチェック項目はおおよそ共通しています。

・マナー、トークスキル(あいさつ・言葉づかい・抑揚・敬語 など)
・コミュニケーションスキル
・傾聴スキル
・プレゼンテーションスキル など 

これらのチェック項目を、扱う商品やサービス、事業所の基準などに照らし合わせて、さらに細かく設定していきます。

モニタリング・スコアがKPIとして重視される理由

モニタリング・スコアがKPI指標として重視される理由は主にこれらの理由からです。

・オペレータごとの習熟度を確認
・スキルに応じた人員配置が可能になる
・オペレータ全体の品質平準化
・スクリプトやFAQの改善に活用 

モニタリング・スコアは、各オペレータのスキルを確認する指標として有効であるとともに、オペレータ全体のスキルを平準化する目安となります。

また、オペレータが対応に苦慮する部分が共通しているのであれば、スクリプトやFAQの改善にも活用可能です。

これらの要素から、モニタリング・スコアはオペレータの質の計測を主としながらも、マニュアル類の改善に活用できる指標としての役割を果たしています。

モニタリング・スコアの評価基準は共有しましょう

「コールセンター白書2020」によると、モニタリング評価を行うSVQA(Quality Administrator)同士で、評価基準のブレを防ぐために事前のカリブレーション(基準合わせ)を「定期的に実施している」と答えた割合は、全体の51%となっています。

この結果から、多くの事業所で事前の共有を実施していることがわかります。

しかし、事前のカリブレーションを「まったく実施していない」と回答した割合も19%あることから、企業間での認識の違いが浮き彫りとなりました。

評価基準の共有は、公平な評価を下すうえで必要不可欠であるとともに、オペレータの納得度を向上させる意味合いもあるため、評価者は定期的に事前のカリブレーションを実施する必要があるでしょう。

参考:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2020』/株式会社リックテレコム/東京/2020.10.16/P67・68

5.目標に照らし合わせて最適なKPI設定を行いましょう

最重要KPI 画像④どの項目をKPIとして設定するかは事業所ごとにさまざまです。
今回データを基にご紹介した3つの指標以外にも、インバウンド・アウトバウンドごとの違いや、扱っている商品・サービスの内容によって重視すべき点は変わってきます。

自社の目標に照らし合わせ、最適な指標は何なのか、どの程度の目標を掲げるのかを再考し、目標達成に適したKPI設定を行っていきましょう。

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