コールセンター運用の要としてさまざまな指標に用いられるKPI。実務の現場では管理者を筆頭に、日々KPI達成のため努力していることでしょう。
そこで今回は、コールセンターの運用に欠かせないKPI設定の重要性と、現場の声を基にしたデータを活用し、その課題について考えていきます。
1.コールセンターにおけるKPI設定の重要性
KPI設定の重要性について触れる前に、KPIの意味を再確認しておきましょう。
KPIとは?
KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)とは、最終的な目標を達成するために必要となる中間目標のことです。
簡単な例を挙げると、化粧品の注文を受け付ける窓口の場合、受注と同時にアップセルと呼ばれる追加注文の提案をする機会があります。
仮に1年間で特定の商品をアップセルによって100個販売する目標を立てたとします。
そうすると、半年間で最低でも50個の販売を目標とするはずです。
この「半年間で50個を販売する」という中間目標のことをKPIといいます。
コールセンター運用におけるKPI設定の重要性
コールセンター運用において必要となる指標は多岐に渡ります。
・顧客満足度の向上
・応対品質の向上
・業務の効率化 など
これらの指標に共通するのは、「具体的な目標としては曖昧である」という点です。
というのは、何をもって顧客満足度が向上したのか、何をもって応対品質が向上したのかを判断するのが困難であるためです。
そのため、KPIを設定し具体的な数値として目標を掲げ、目標達成までの進捗情報や修正すべき点を逐次把握できるようにする必要があります。
このことから、最終目標に焦点をあわせた的確なKPI設定が、コールセンター運用を行っていくうえで最も重要なポイントだといえるでしょう。
2.コールセンター運用におけるKPI設定の課題
コールセンター運用にはKPI設定が重要ですが、設定した数値をうまく活用できているか、チェック体制は万全かという課題がつきまといます。
「コールセンター白書2020」によると、品質に関するKPIの活用についてアンケートを取ったところ以下のことがわかりました。
出典:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2020』/株式会社リックテレコム/東京/2020.10.16/P76
こちらの図からもわかるように、74%が「日々トラッキングし、業務改善の素材として活用している」と答えているのに対し、残り26%は日々のKPI数値を運用にうまく活用できていません。
また、KPIのチェック体制についてたずねたところ、以下の回答となっています。
出典:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2020』/株式会社リックテレコム/東京/2020.10.16/P76
こちらでは全体の約半数である45%で、「1日の平均値をチェックしている」との回答がありました。
コールセンター業務では、1日の間でも入電が集中する時間帯と入電数が少なくなる時間帯があります。
そのため、1日の平均値をチェックするだけでは実際の品質の把握ができず、お客様の期待に応える対応とは程遠くなってしまいます。
最終目標を達成するための中間指標としてKPIを設定するのは必要不可欠です。
しかし算出された数値をどのように活用し、どれくらいのスパンでチェックを行うのかを検討しなければ、目標達成への道筋を見定める指標としては不十分だといえるでしょう。
3.KPI設定時に押さえておきたいポイントとは
KPI設定をするうえで押さえておきたい考え方として、「SMART(スマート)」と呼ばれる5つのポイントがあります。
KPI設定には欠かすことのできない考え方なのでしっかりと理解しましょう。
①明確な目標設定となっているか:Specific (S)
適切なKPI設定をするためには、明確な目標設定が重要です。
実際に達成できているのか、どの程度進捗しているのかを把握しやすくするためにも、目指すべき目標は明確にしておきましょう。
②測定ができるか:Measurable (M)
数値として測定可能な項目をKPIとして選定しましょう。
数値化が容易な項目を選定することで、進捗状況の確認がスムーズにできます。
③達成可能な目標設定か:Achievable (A)
KPI設定をする場合には、現実的に達成できる目標にしなくてはなりません。
いくら高い目標を掲げても達成できなければ意味がありません。また、無理に目標達成を計ると、ほかのKPI指標を下げる原因につながる恐れがあります。
例として、応対品質の向上を考えるあまり1件ごとの対応時間が長くなってしまい、放棄呼が増えてしまうという状態などが挙げられます。
④関連性のある目標か:Relevant (R)
KPI設定をする際は、はじめに定めた最終目標と関連のある項目を選定します。
関連の薄い項目をKPIに設定してしまうと、目標到達とは直接関係しない手間が増える原因となり非効率です。
⑤明確な期間を定めているか:Time-bound (T)
目標達成までの明確な期間を定めることも大切です。
顧客満足度の向上を掲げたとしても、達成までの明確な期間を定めなければ、最終目標までの具体的なプロセスを構築できません。
4.KPI達成のためにも日々の数値管理を徹底しましょう
コールセンター運用におけるKPI設定について、基本的な考え方と課題、設定時に押さえておきたいポイントを解説しました。
どの項目をKPI設定するかは事業所ごとに大きく異なります。
ですが、どのようなKPI設定を行っていたとしても、日々の成果を的確にとらえることができなければ意味を成しません。
最新のデータに基づく数値管理を徹底し、KPI達成を目指してください。
その積み重ねが最終目標を達成するための一歩となってくれるでしょう。
次回は、コールセンター運用で重要視されているKPIについて解説します。
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