コールセンター業務に欠かすことのできないナレッジのひとつとしてトークスクリプトがあります。業務内でオペレーターが案内に困らないよう作られたトークスクリプトは、いわばひとつの道しるべともいえるわけです。
では、それほどまでに大切なトークスクリプトは、どのようにして作成するのでしょうか?
そこで今回は、トークスクリプトの作成手順とその際に注意すべき点を解説します。
管理者になったばかりの方はもちろん、すでにトークスクリプトを作成したことのある方もぜひ参考にしてください。
1.コールセンター運用におけるトークスクリプトの重要性
コールセンターにおいてトークスクリプトは業務をスムーズに運ぶうえで欠かせません。
トークスクリプトを作成することで得られる効果をいくつかみていきましょう。
応対品質を一定に保てる
トークスクリプトの流れに沿って顧客対応をすることで、オペレーターごとの応対品質にバラつきが発生しづらくなります。
新人とベテランでは、スキルに大きな違いが出るのはいうまでもありません。しかしトークスクリプトを活用することで、新人オペレーターでも安定した顧客対応が可能となるため、オペレーター全体の応対品質を一定に保つことができます。
新人育成に活用できる
コールセンターでは、新人研修時にロールプレイングという実戦形式で対話練習をする時間があり、トークスクリプトはその際の教材として役に立ちます。
トークスクリプトには正しい敬語や応対マナーで記載された言葉が並んでいます。そのため、反復して読み上げることで、コールセンター経験のない新人オペレーターも自然に正しい言葉遣いを身に着けていきます。
KPIの改善
トークスクリプトの活用により、顧客への案内漏れや誤案内などのミス率が改善されます。
また、スムーズにわかりやすい説明が可能となるため、平均通話時間が短くなり業務効率も向上します。
2.トークスクリプト作成を含めたナレッジ管理は誰が実施すべきか
トークスクリプトの作成を含めたナレッジ管理はいったい誰が担うべきでしょうか?
『コールセンター白書2021』によると、ナレッジベースの管理について聞いたアンケート結果はこのようになっています。
●参考:月刊コールセンタージャパン編集部/『コールセンター白書2021』/株式会社リックテレコム/東京/2020.10.26/P78
この結果から、多くのコールセンターでSVが兼務しているケースが多いとわかりました。
SVは日々の数値管理やオペレーターのシフト作成、社内やクライアント企業との打ち合わせなど、さまざまな業務を担っています。その点からみても、SVに業務負担が集中しているといわざるを得ません。
筆者もコールセンターで管理者として従事していましたが、ひとりで多くの業務を兼務していると、トークスクリプトを含めたナレッジの質は間違いなく低下します。
ナレッジの質が低下すると、通話時間が超過する、クレームが増えるなど、直接オペレーターのパフォーマンスに影響が出てしまいます。
そのような事態を避けるためにも、ナレッジマネージャーなどの担当者を選任したうえで、ナレッジ全体の質を向上させる仕組みづくりが必要です。
3.トークスクリプトに必要な要素とは?
トークスクリプトは「オープニング」「メイントーク」「クロージング」の3要素から成り立っています。
それぞれどのような内容なのかみていきましょう。
オープニング
オープニングは顧客に好印象を抱かせるための第一関門ですから、明るいトーンで元気よく挨拶しましょう。
挨拶のあとは自己紹介を行います。とくにアウトバウンドの場合は、突然かかってきた電話に対して顧客は不信感を抱いています。そのため、自身の所属(企業名)や名前を伝えるのはとても大切です。
メイントーク
メイントークはインバウンド・アウトバウンドで内容が異なります。
インバウンドであれば、顧客がどのような理由で問い合わせてきたのかを確認したうえで、トークスクリプト通りに案内を進めていきます。
とはいえ、インバウンド業務はイレギュラーな問い合わせも頻繁に入ります。そのような場合は管理者がフォローし、その後トークスクリプトの改善や見直しを行いましょう。
アウトバウンドの場合は、ほとんどが顧客の「はい」「いいえ」という返答でトークスクリプト通り流れていきます。
しかし、突然かかってきた電話に長々と付き合ってくれる顧客も多くありません。そのため、「結構です」「必要ありません」と切電される可能性もあります。
そのような場合は、「〇〇などにお困りではないですか?」など、最初の質問とは別の内容から話を広げるためのトークフローが別途必要です。
クロージング
アウトバウンドのクロージングでは、次回のアポイント取りや契約に関する話を進めます。
「再度連絡します」などの抽象的な返答は避け、「〇日と〇日であればどちらがよろしいでしょうか?」などいくつかの候補日を提示したうえで、顧客に選んでもらいましょう。
これにより、次回の約束が取りやすくなり顧客との接触機会を増やすことができます。
インバウンドであれば、「本日はお問い合わせありがとうございました」などの丁寧な挨拶で締めくくります。顧客がスッキリとした気持ちで終話できるよう配慮することが大切です。
4.トークスクリプトの作成手順や注意点
トークスクリプトの作成手順とその際に注意すべきポイントを解説します。
トークスクリプトを作成する際の手順はつぎのとおりです。
① 運用方法を決める
② 内容の策定
③ 設計図を作る
④ レイアウトを決める
⑤ 書き言葉を話し言葉へ変換する
⑥ 読みあげて検証する
⑦ オペレーターへスクリプトを公開
⑧ 定期的なメンテナンス
それぞれ内容をみていきましょう。
① 運用方法を決める
運用方法を決めるとは、トークスクリプトを紙で印刷するのか、専用のサイト上に展開するのかを決めることです。
トークスクリプトはすぐに取り出して使用できるかたちがよいため、紙媒体で印刷したものをオペレーターへ手渡したほうが効果的です。
とはいえ、更新が頻繁に必要な場合はそのたびに再印刷が必要となります。手間も時間もかかってしまうため自社に適した運用方法を検討しましょう。
② 内容の策定
トークスクリプトの作成目的を考慮したうえで内容を構築していきます。
トークスクリプトの内容を考える際は、案内をする目的・おすすめするサービス(商品)の特徴・顧客層(年齢・性別など)・オペレーターのスキル(新人向けなのか、ベテラン向けなのか)などを指標とします。
このなかでもとくに重要なのが顧客層の設定であり、ここが少しでもずれると相手に刺さらないトークフローとなります。そのため、自社商品やサービスのターゲット層をより深く分析しなければいけません。
③ 設計図を作る
最初からパワーポイントやエクセルを用いるのではなく、気軽に手書きの簡易設計図を作成します。
その際は、はじめからセリフをどんどんはめ込もうとせず、まずは全体の流れをパーツごとに分け、対応における一連の流れを把握することから努めましょう。
④ レイアウトを決める
いくら精度の高いトークスクリプトを作成してもレイアウトが見づらいと効果が薄まります。
YES・NOでそれぞれ文字色を変える・トークボックス内の文字数を抑える・矢印の方向に規則性を持たせる(矢印は上から下のみで、下から上のパターンを設けない)などの工夫を用いて、オペレーターが混乱せず見やすいレイアウトになるよう整えましょう。
⑤ 書き言葉を話し言葉へ変換する
漢字とひらがなのバランス・言葉遣いや言い回しの調整・クッション言葉の挿入など、視覚的に見て読みやすい文章にしていくことが大切です。
⑥ 読みあげて検証する
作成したトークスクリプトをロールプレイング形式で実際に読み上げます。
このとき、顧客目線からは「話がわかりやすいか」を、オペレーター目線からは「スクリプトが見やすいか」「スムーズに案内ができるか」をそれぞれ確認するようにしましょう。
⑦ オペレーターへスクリプトを公開
作成したトークスクリプトをオペレーターへ公開します。
オペレーターからの質問や意見へ回答できるよう、作成者はきちんと内容の意図を説明する準備をしておきましょう。
⑧ 定期的なメンテナンス
定期的にオペレーターへ聞き取りを行うなどして、トークスクリプトの運用実態を確認します。
修正が必要な部分が見つかった場合は速やかに対処し、内容変更があったことをオペレーターへ必ず周知しましょう。
5.トークスクリプトは作成後のメンテナンスが最も大切です
コールセンターは新しい情報をつねに受取ながら業務に励んでいます。そのため、トークスクリプトを作成したからといって日々のメンテナンスを怠ると、いつの間にか内容が古くなっていることもあります。
トークスクリプトはオペレーターの道しるべとなる大切なナレッジです。常時最新の状態が保てるよう、定期的なメンテナンスを忘れないようにしましょう。
BlueBeanのACD機能と発信リスト管理
BlueBeanはインバウンドもアウトバウンドも対応している、オールインワンのコールセンターシステムです。
トークスプリクトも大事ですが、案内すべきお客様に正しく繋がらないことには、どんなにトークスクリプトをブラッシュアップしても意味がありません。
BlueBeanの機能には、ACD機能と発信リスト管理の機能が標準搭載されています。
インバウンド業務の場合は、ACD機能を利用し、お客様が必要としている窓口に繋げることができます。
アウトバウンド業務の場合は、まだ繋がっていないお客様とすでに繋がったお客様をそれぞれ絞り込み、リストをわけ発信することができるので、お客様の状況に沿ったトークスクリプトを利用することが可能です。
ACD機能(イメージ)
アウトバウンドリスト分け(イメージ)
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